ハリーの探偵日記 (The Harry Chronicles) |
HPB(早川ミステリポケットブック) |
初版1997年3月10日 |
あらすじ |
ハリー・ライスが、私立探偵と酒場のオーナーという二足のわらじを履くことになったのは、そもそも自分の気に入らない依頼を引き受けたくなかったからだった。にもかかわらず、こんな厄介な事件に関わることになったのは、依頼人エロイーズの魅力に参ってしまったからに他ならない。盗難にあった夫の古銃のコレクションを取り戻してほしいというのだが、当の夫ウェイドはハリーがこの事件に首を突っ込むことを快く思っていない様子。調べてみると、離婚を考えていたウェイドが財産分与に備えてコレクションを密かに売りさばいていた可能性が浮かび上がってきた。そのうえ、なぜか暗黒街の顔役までもが、この一件から手を引けと脅しをかけてきた。やがて、ウェイドが死体となって発見されるに及び、事件は急転直下、思いもよらぬ方向へ!。私立探偵小説コンテスト最優秀作品。
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感想 |
探偵でありながらバーのオーナーでもあるハリー・ライス。彼は浮気の調査などという馬鹿げた仕事を無理して請けなくてもすむように、2足の草鞋を履くことになったのだが、気の進まない仕事を引き受ける羽目になる。依頼人が小柄な体に似つかわしくない大きな胸を持つお色気むんむんな中年女性だったのが、盗難にあった夫の古い銃を取り戻して欲しいという依頼を引き受けた理由だったのだが、盗難された銃の追跡捜査だけだというのになぜか暗黒街の大物が出てきてハリーに手を引けと脅す。やがてお色気むんむん女の旦那が、ハリーの車の中で死体となって発見されたことから・・・という展開です。
久々にこんな古い作品を手に取ったのは訳者さんが三川基好さんで、そんでもって訳者としてのデビュー作なんだそうです。三川訳なら間違いないだろうと思って読んだのですが、さすがに裏切られませんで、デビュー当時から三川さんらしい訳文でサクサク読める軽快な文章でした。ジャンルは探偵物ではあるけれど、どっちかというとコージーというかペーパーバック風の軽いノリなので好みは割れるかと思いますが、新人さんにしては着地の巧い作品です。主人公の探偵もその周りを固める脇役陣も非常に魅力的で楽しめたのですが、次作は訳されていないようです。残念です。
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