アレックス・ベレンスン(Alex Berenson)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | アレックス・ベレンスン(Alex Berenson) |
生年月日 | 1973年 |
生誕地 | |
処女作 | 「The Faithful Spy (2006)」(他にノンフィクションも有り) |
デビュー年 | 2006年 |
公式サイト | http://www.alexberenson.com/ |
フェイスフル・スパイ (The Faithful Spy) |
小学館ハードカバー | 初版2007年9月12日 |
あらすじ | アフガニスタンに潜入したCIAスパイ ジョン・ウェルズがアルカイダの密命を帯びてアメリカに密入国。9.11を上回る作戦とは何か?標的はどこ?そして、いつ?―ダブルスパイの嫌疑をかけられながら、ただ独りおのれの職務をまっとうしようとする男の孤独と矜恃を描く現代スパイ小説。2007年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長編賞受賞作。
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感想 | 久々に正統派冒険小説、スパイスリラーを読んだなぁ〜って感動したくなるほど、昔懐かしいタイプの冒険小説でした(笑)。冒頭の20ページ辺りまでが退屈で先はどうなるのかなと危ぶんだのですが、24ページ辺りから一気に引き込まれ怒涛の一気読みを致しました。逆から見れば24ページの時点で読者をつかむほど書き出しが上手いと言えるのだと思います。コナリーもそうですけど、新聞記者から作家へと転向される方の作品は物語の展開が早いですね。翻訳本はまだるっこしいから苦手という方にもお勧めし易い作品だと思われます。が、描かれているのは同時テロから6年後の米国で、テロ目的に潜入するアルカイダとそれを防ごうとする政府という重く暗い内容なので、好き嫌いは綺麗に分かれると思います。で、内容はというと・・・ 米国人の身でただ一人、アルカイダに潜入を果たしたCIA工作員ジョン・ウェルズ。彼の胸中を支配しているのは9・11を未然に防げなかったという無念だった。加えて、ウェルズはアルカイダへの潜入が長引き、CIA本部からはアルカイダに取り込まれたのではないかと疑われており孤立無援状態。この状態から脱するにはアルカイダの信頼を得さらに中枢へと潜入し、新たなるテロを未然に防ぐしか方法はない。そんな折、ウェルズはアルカイダのナンバー2に呼び出され、偽のパスポートを持ってアメリカに潜入せよとの密命が下ることに・・・という内容です。米国政府対アルカイダのせめぎ合いが物語の軸となっているのですが、ウェルズやアルカイダ戦士たちの人物も丁寧に書き込まれているので、一概に「テロは悪」という描かれ方をしていません。なので、この手のスパイ小説としては珍しい角度から描かれているといえるのかもしれません。冒険小説好きな方にお勧めです。 訳者は池央耿 (イケ ヒロアキ)氏なのですが、池氏の、どちらかというと硬質な文章が物語とマッチしていて、たいへんに読み易かったです。 ![]() ![]() |
暗号名ゴースト (The Ghost War) |
ヴィレッジブックス文庫 | 初版2009年6月10日 |
あらすじ | 朝鮮の核兵器情報を提供していた科学者から、緊急の国外脱出要請が届いた。CIAは急遽、偽装船を仕立てて黄海の救出地点へ向かわせる。作戦成功と思ったのも束の間、待ち構えていたのは北朝鮮の精鋭部隊だった。内部から情報が漏れている―CIAに大きな衝撃が走った。だがそれは、世界全体を巻き込む大規模な謀略の皮切りにすぎなかった!
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感想 | 本作も冒険小説の王道を行く作品です。リアリティという面から見るなら、際どい崖っぷちを歩いているような作品(?)ですが、ベルリンの壁崩壊後から冒険小説というミステリの一ジャンルが消えかけていたことを考えると、北朝鮮や中東、中国を舞台にスパイスリラーを書いた作者に拍手を贈りたいと思います。こういう作品は粗筋など読まずに突入される方が良いと思うんだけど、物語は・・・ 前作の活躍でアメリカ全国民に顔と名前を知られ英雄視されているが、心に深い傷を負ったジョン・ウェルズはかろうじて正気を保っているような状態だった。ウェルズは前作の事件が元で、アルカイダとイスラム教徒に敵視されている身なので任務につくことも出来ず鬱々とした毎日を送っていたのだった。そんな頃、北朝鮮の核兵器情報を流していた大物スパイの科学者から何者かの密告で正体が露見したので至急救出して欲しいとの報が入る。CIAは偽装船を黄海へ送り救出に当たろうとするがそこには恐ろしい罠が。そして、タリバン兵が外国人部隊の訓練を受け、戦術が飛躍的に向上。タリバンに手を貸す組織とは?。世界各地で不穏な動きが活発化する中、自暴自棄になっていたジョン・ウェルズに白羽の矢が・・・という展開です。冒険小説好き・スパイ物好きなら楽しめる作品だと思います。お勧め作です。 |